——現在の仕事について教えてください。
コンサルティング会社に勤務しています。コンサルティング会社は、クライアントとなる会社の財務情報などを詳細に分析し、課題を特定したうえでその解決策を提案したり、企業統合の際のアドバイスをしたりすることが主な業務です。財務諸表や市場動向などの分析はもちろんですが、クライアントのことを理解するための業界研究や綿密なコミュニケーションも大切な仕事です。クライアントと一緒に、数十年先のより良い未来につながる事業計画を考えさせていただいています。
——今の仕事を選ばれた理由を教えてください。
ぼくは農学部出身なのですが、大学院生のときに1年間ほど東ティモールに滞在する機会がありました。コメの自給率向上に寄与するため、現地の方と一緒に栽培方法の改善に取り組みました。そのときに痛感したのが、寄付や支援だけを財源とする構造では持続的な成長は難しい、ということでした。農業技術以外で自分にできることはなんだろう。そう考えたときに、「未来に生きるお金の動かし方」を学び、それをいつか世界の成長に還元したいと考えたんです。今の勤務先には、私と同じような問題意識を持つ方々がいらっしゃったので、それが決め手になりました。
——早稲田アカデミーの授業の印象は?
とにかく楽しかったことですね。ぼくは小学5年生のときに高校受験を目標に入塾したんですが、どの科目の先生も個性豊かで、授業があっという間に感じられるほど夢中になりました。今思うと、先生方は「目線を上げさせてくれるのが上手だったな」と思います。授業中に「今、○○クラスではこんな問題をやっているんだよ」と、同じ単元の少しハイレベルな問題を紹介してくれるので、自然と「ぼくにもできるかな」「やってみようかな」と思える。うまくモチベーションを引き出していただきました。
——忘れられない思い出はありますか?
ぼくが通っていたころは、高校3年生も夏と冬に合宿がありました。「夏期合宿」※は、最後のコンテスト授業で好成績を収めてトロフィーをもらった、すごくいい思い出。でも、12月の「東大必勝冬期合宿」※は、入試が間近に迫っているのに思うような結果が出せなかった悔しい思い出です。そのとき、いつも担当してくれる先生が、ぼくに真正面から向き合って「どこがよくなかったと思う?」と聞いてくれたんです。合格した後で振り返ったとき、あの一言でぼくのなかで何かが変わったな、と思いました。
※現在は「夏期集中特訓」「東大必勝冬期特訓」として実施。
——早稲田アカデミーで学んだことで、今に生きていることは?
「うまくいかないときも、まずは前を向く」という考え方だと思います。受験では、つまずくことも、自分の力不足を突き付けられることもあります。そんなとき、うつむくんじゃなくて、まずは前を向く。そして改善方法を考える、という姿勢が身につきました。子どものころなら先生や親が手を差し伸べてくれますが、社会人は自分で自分を立て直さなくてはならない。でも、自分は「それができる」という自信があるから、今も思い切って挑戦していけるのだと思います。
——後藤さんが大切にしていることは?
妥協しないことです。日本刀みたいに切れ味鋭い頭脳とか、人より長く勉強できる強靭な体とか、受験においても仕事においても、人にはそれぞれの“武器”があると思います。ぼくはそのどちらも持っていないけれど、ぼくにとっての武器は「妥協しない姿勢」。他の人が思わず手を抜いてしまうような場面で、ぼくは1点でも2点でも取りにいく。そういう姿勢は、今も大切にしています。
——前に進むための原動力はなんですか?
「知らないことをもっと知りたい」という好奇心でしょうか。だから、いろいろな人と出会い、コミュニケーションを取りながらさまざまなことを学んでいる毎日がすごく楽しいし、やりがいがあります。また、早稲田アカデミーで「習慣の力」を知ったことも大きかったですね。どんなことも、最初は大変。でも、それを諦めずに続けて習慣化すれば、いつの間にか“当たり前”になる。そして、“当たり前”になったころには、やらなかったころと比べて大きな差が生まれる――。受験を通して、そう知りました。
クライアントのために、ともに働く仲間のために、そしていつかは、世界のどこかにいる、ぼくを必要としてくれる人のために。これからも前を向いて、挑戦し続けていきます。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社勤務。2024年東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻 修士課程修了。